生命保険を活用した相続税対策について【資産家向け】

保険の選び方

生命保険を活用した相続税対策について説明したいと思います。

前回標準編を書きましたが、今回は資産家向けの内容です。

多額の相続税がかかる可能性のある方のみが対象となり、標準編で解説した法定相続人の人数×500万円は実施したうえでのお話となります。

 

うらやましい話ですが、資産が多く、より高いレベルでの相続税対策が必要な方は是非最後までご覧ください。

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生命保険を活用した相続税対策【資産家向け】について

前回の標準編では、相続税がどのような時にかかってくるのか?を説明いたしました。

今回は、その内容も踏まえながら資産家向けの相続税対策について説明していきたいと思います。

生命保険を活用した相続税対策【資産家向け】の対象となる方

今回はまず相続税の税額などについて見ていきましょう。

法定相続人3人ですと4,800万円以上の資産があれば相続税の課税対象になってきますが、相続税の税率は相続を受けた金額によって異なってきます。

相続税の税率は以下の表の通り最大で55%となっています。

注意が必要なのは、この税率は「相続人一人につき」という点です。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

例えば、先ほどの例の法定相続人が3名いる場合、相続財産が総額6億4,800ですと、4,800万の控除があり、相続税課税対象額の総額は6億円になります。

3人で均等に2億ずつ遺産相続を受ける場合、一人当たりの相続税額は2億×40%ー1700万で6,300万円の相続税がかかってきます。この場合の実質の税率は31.5%となりますね。

手間も考えますと、今回の資産家向けスキームの対象となるのは、最低でもこの水準の資産をお持ちの方になるかと思います。

生命保険を活用した相続税対策【資産家向け】の内容

それでは、資産家向けスキームの内容についてお話していきたいと思います。

以前、生命保険には契約者、被保険者、保険金受取人の3人の登場人物がおり、その組み合わせ方によって税金が変わってくるので、適用に設定せずちゃんと考えて設定した方が良いと記事にしました。

 

その際に、以下のような表を示したうえで、通常は相続税にする方が有利なので、契約者と被保険者は同じ人にしましょう。と書かせていただきました。

今回は、通常とは違うケースなので、所得税(一時所得)を使います。 

契約者被保険者保険金受取人税金の種類
①契約者と②被保険者が同じ
(③受取人は相続人)
  夫     夫      妻       相続税    
     同上子ども相続税
①契約者と③受取人が同じ
(②被保険者は別)
所得税(一時所得)
     同上子ども所得税(一時所得)
①契約者と②被保険者と③受取人
が全て別人
子ども贈与税
     同上子ども贈与税

相続税の税率も所得税の税率も住民税の10%と合わせると最高税率は55%で同じです。

 

ただし、所得税(一時所得)の場合の相続財産の計算方法は、(保険金ー支払った保険料ー50万円)×1/2となります。

つまり、実質27.5%未満となりますので、相続税の税率がそれ以上かかる場合は、相続税よりも所得税(一時所得)としたほうが有利になるのです。

生命保険を活用した相続税対策【資産家向け】の具体例

それでは、具体例を見ていきましょう。

資産家の父からの遺産相続時の相続税の心配をされている息子さんがいたとします。

 

その場合、契約者=息子、被保険者=父、保険金受取人=息子という終身保険の契約をします。

例えば1億円の死亡保険金を受け取る契約をし、保険料を2950万円支払った時にお父様がお亡くなりになったとします。

そうしますと、(1億円ー2950万円-50万円)×1/2という計算になりますので、相続税がかかる財産(「みなし相続財産」といいます)は3500万になります。

 

同じ契約を契約者=父、被保険者=父、保険金受取人=息子といていたら、1億円分がみなし相続財産となりますので、全然違う事がおわかりになるかと思います。

生命保険を活用した相続税対策【資産家向け】の保険料について

このスキームは高額な終身保険を契約しないと意味がありませんが、そうすると高額な保険料がかかることになります。

しかしここがポイントです。

保険料についてはお父様からご子息に毎年保険料分を暦年贈与し、その贈与を受けた財産を保険料に充当させてください。

こうすることで、お父様の資産を合法的に下げることにもつながります。

その場合も、実質お父様が保険料を払ったわけでは無いと主張するために、あえて贈与税を払ったり、保険料と贈与金額を同額にしないなど、少々の工夫をした方が良いと思います。

まとめ

いかがでしたか?

標準編の内容である、法定相続人の人数×500万円は実施したうえでのお話となりますが、資産をお持ちの方の場合は、このようなやり方で相続税対策をすることが可能です。

その際に重要なのは、契約者、被保険者、保険金受取人の3人の登場人物の組み合わせです。

ここを間違えてしまうと、元も子もなくなってしまいますので、必ず注意してくださいね。

 

ちょこっとでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。

この記事を書いた人
ひかる

某金融機関で保険に関する仕事をしています。
当ブログではちょこっと裏話もまじえながら保険や資産運用に関する考え方などを発信しています。
【保有資格】
1級FP技能士・TLC(生保協会認定FP)・損害保険プランナー・特別会員証券外務員(1種・内部管理責任者)

管理人のプロフィールやこのブログのコンセプトなどはこちらをご覧ください。

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