保険には「積立タイプ」と「掛け捨てタイプ」があります。
日本人の特徴らしいのですが、「掛け捨て」の生命保険が嫌いな人が多いです。
「掛け捨ては嫌!」と積立機能がある生命保険を希望される方が多いですが、本当に掛け捨ては損で、積立型は得なのでしょうか?
私は少なくとも2017年4月以降の場合はすぐにでも解約した方が良いと思っています。
また、2013年4月以降に加入した積立型保険は解約を検討しても良いと考えています。その理由などを説明していきたいと思います。
掛け捨ては損?積立が得?
「掛け捨て」と「積立」どちらが得か?と言う話をしていきたいと思います。
特に私の親世代は「掛け捨て」が嫌いな人が多いと思います。確かに、昔は積立型が良かった時代もありますが、今は有利だと言えません。
生命保険の3つのタイプというお話があります。まず、そのお話をしていきたいと思います。全部死亡保険金は1000万円で考えていきます。
保険の3つのタイプ
①定期保険
例えば、60歳までなどの期間を定めて生命保険を契約するのが定期保険です。電車・バスなどの定期券も3か月などの期間を定めますよね。それと同じです。
今回は1000万円の死亡保険金の保険金の例ですので、契約期間中(60歳まで)にお亡くなりになると、契約通り1000万円の保険金が遺族に支払われますが、契約期間から1日でも過ぎると、保険金は1円も出ません。また、支払った保険料も戻ってきません。つまり、「掛け捨て」の保険です。
②養老保険
定期保険と同じく期間を定めた保険で契約期間から1日でも過ぎると死亡保険金は受け取れません。
ところが、大きな違いとして契約期間が終了すると、死亡保険金と同額(この場合1000万円)の「満期保険金」が受け取れます。つまり、積立型保険です。
③終身保険
定期保険・養老保険とは大きく形が異なり満期がありません。「終身」つまり一生涯の保険なので満期はありません。養老保険のような「満期保険金」はないのですが、人間いつかは必ず亡くなりますので、いつか必ず1000万円を遺族の方が受け取ります。
また、途中で解約すると「解約返戻金」が戻ってきますので、積立型保険の一種です。
①~③のどれが良いですか?これだけの情報だと普通は②か③ですよね?
ただ、もちろん保険料が全然違います。保険料の差を見ていきましょう。
保険料の差について
公益財団法人生命保険文化センターが2019年に作成している「ほけんのキホン」に書かれている保険料例で見ていきたいと思います。
30歳の男性が60歳までの保険に入る場合です(終身は60歳で保険料の支払いを終わらせる場合)
①の定期保険は月額3100円、②の養老保険は月額29900円、③の終身保険は27700円です。全然違いますよね。でも、重要なのは合計でいくら払うかです。
お亡くなりにならなかった場合
まずは、60歳までにお亡くなりにならなかった場合を見てみましょう。
①の場合111万6千円払って掛け捨てになります。
②の場合は1076万4千円払って、1000万を受け取ります。
③の場合は997万2000円を支払い、いつか1000万円を遺族が受け取ります。60歳過ぎてすぐに解約すると904万円戻ってきます。
積立というと増えるイメージがあると思いますが、実際は増えていません。むしろ養老保険などは払った保険料よりも戻ってくる金額の方が低いです。
60歳まで無事に生きていた場合、定期保険は111万6千円を掛け捨てですが、養老保険も76万円も、満期保険金より余計に払っています。
考えようによっては約35万円養老保険の方が安く入れたという考え方もゼロでは無いかもしれませんが、私なら、毎月の保険料の差額2万5千円を積立NISAかiDeCoで毎月インデックスファンドに投資します。
途中でお亡くなりになった場合
次に途中でお亡くなりになった場合を考えてみましょう。
例えば10年後にお亡くなりなった場合、①~③共に1000万円受け取れるわけですが、①の定期保険はそれまでに37万2千円支払い、②の養老保険は358万8千円支払うことになります。
支払った保険料と、受け取った保険金の差を考えると断然①がお得な事がお分かりになると思います。
定期保険と養老保険の話をしましたが、終身保険も考え方は同じです。しかも、インフレリスクもあるわけですから、今積立保険に加入するのはナンセンスだと思います。
積立保険は解約したほうが良いのか?
ここまで読んでいただくと、積立保険は解約したほうが良いと思われるかもしれませんが、解約する前にちょっとまってください。先ほどの例は2019年に計算された保険料です。
解約したほうが良い契約時期と、しないほうが良い契約時期があります。
と、言いますのも、昔は積立保険がお得な時代は確かにあったのです。
生命保険会社が積立部分の利回りの計算に使う「標準利率」と言うものがありますが、10年国債の応募者利回りを基に計算されており、それが超低金利を背景にどんどん下がっているため、「標準利率」も下がっています。
そのため、積立保険が全く魅力のない商品になってしまいました。
以下はその標準利率の過去の推移です。
適用期間 | 標準利率 |
1990年4月~1993年3月 | 5.75% |
1993年4月~1994年3月 | 4.75% |
1994年4月~1996年3月 | 3.75% |
1996年4月~1999年3月 | 2.75% |
1999年4月~2001年3月 | 2% |
2001年4月~2013年3月 | 1.50% |
2013年4月~2017年3月 | 1% |
2017年4月~ | 0.25% |
保険会社は必ずしも標準利率通りの利率で計算する必要があるわけではないのですが、基本的にこれに近い利率で計算しています。
つまり、どんどん魅力が無くなっていますが、2013年4月以降はほとんど魅力ないですし、2017年4月以降は積立で入る価値はゼロに近いと考えます。
もしかなり昔に加入した積立保険がまだ残っているのであれば、その保険は解約せずに残しておきましょう。業界では「お宝保険」と言います。
2017年4月以降に加入した場合は傷が浅いうちに解約して、別に積立する方が良いと思います。
2013年4月~2017年3月に加入した方は、支払う金額と戻ってくる金額のバランスを見てみてください。もし不利だと思われるようなら、早いところ解約して別の手段を考えましょう。
死亡時の残された遺族の為の保険が欲しいのであれば収入保障保険がオススメですよ。
まとめ
それでは今回のまとめです。
・生命保険には「掛け捨て」「積立」がありますが、今は積立保険は魅力が無くなってしまいました。
・2017年4月以降は積立タイプはお得ではないので即解約することをオススメします。それ以前に加入した場合は、支払った保険料と戻ってくる金額のバランスを計算してみましょう。
・今から加入するのであれば「掛け捨て」を選ぶほうがオススメです。
・かなり昔から加入している保険の場合は、お宝保険の場合もあるので解約は慎重に判断してください。
ちょこっとでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。