自動車保険で名前がよく似ていて間違えやすい「人身傷害保険」と「搭乗者傷害保険」の違いを説明します。
どちらもケガに関する保険ですが、名前が似ているので紛らわしいと思いますが、必ず人身傷害保険を選ぶべきだという事は必ず押さえておいてください。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険って何が違うんだろう?
実は全然違うので注意してくださいね。
人身傷害保険とは
それでは、人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いを見ていきましょう。まずは人身傷害保険についてです。
人身傷害保険は、車に搭乗している人(運転者・同乗者など)が事故でケガをした場合に、「治療費の実費」「慰謝料」「休業損害」「逸失利益」などが保険で出ます。単独事故の場合はその全額が出ますし、相手がある場合は相手の過失分は相手の保険の対人賠償保険から出ますので、その差額が出ます。
例えば、交通事故で相手が70%・自分が30%悪い事故が発生し、不幸にもお亡くなってしまい5,000万の損害(自賠責保険での支払額の他に)が発生したとします。
その場合、相手の対人賠償保険から5,000万円×70%の3,500万円が出ます。残りの1,500万円がこの人身傷害保険から出ます。
つまり、人身傷害保険に加入していれば自動車搭乗中に大けがをしたとしても、自己負担をする必要がありません。
人身傷害保険では一人当たり3,000万円、5,000万円などの金額で上限を設定しますが、最近は5,000万円以上で設定する方が増えています。
金額設定には年齢・所得金額・家族構成などを考慮して考えるべきですが、2020年4月の民法改正の影響で、以前より受け取れる金額が増えていますので、これを機会に見直しても良いかと思います。
下の表は年収500万円の方の死亡した場合の平均的な損害額の目安です。詳細については三井ダイレクトさんのHPに表が載っていたので参考にしてください。
夫婦のみ世帯 | 夫婦+子供二人 | |
30歳 | 7,073万円 | 7,909万円 |
40歳 | 6,453万円 | 7,185万円 |
50歳 | 5,442万円 | 6,006万円 |
なお、人身傷害保険には「契約車両に乗っている時のみ」「歩行中などの自動車事故も対象」などが選べる事が一般的です。会社によっては「交通事故も対象」「自転車運転中の事故も対象」などのタイプもありますので、それらが必要な方は検討しても良いと思います。
自転車で通勤・通学する方は自転車事故も対象の保険を選ぶのもオススメですよ
搭乗者傷害保険とは
搭乗者傷害保険は「運転中限定の生命保険」と考えるとわかりやすいと思います。相手の過失や賠償の有無に関わらず、決められた金額が出ます。
仮に相手の対人賠償保険から損害額の100%出たとしても、プラスαとして契約金額(例えば1,000万円など)がでます。
ただし、先ほど人身傷害保険であげた例ですと1,500万円必要でしたので、1,500万円-1,000万円の500万円が不足する事になります。
つまり、搭乗者傷害保険は、事故でけがした際の損害が足りるか足りないのかがわからない保険です。
また、入通院に関しては、昔は入院日額15,000円・通院日額10,000円などの補償が一般的でしたが、今では5日以上の入通院したら一律で10万円が出るなどの保険が一般的になっていますが、これも同様に損害額に足りるか足りないかを全く考慮せずに保険金が出ます。
昔はこの搭乗者傷害保険が一般的でしたが、1998年に東京海上さんが人身傷害保険を販売し、主流になってきました。私は搭乗者傷害保険はすでに過去の保険だと思います。
では、何故今でも販売しているのかと言うと、通常、相手側から100%補償される場合、被害者が加入している保険では1円も保険金が出ません。でも、契約している方が自動車事故の被害にあった際に「うちの保険からは1円も出ない」とは言いにくいと言う販売者側の都合により今でもこの保険が残っているのだと考えています。
私は搭乗者傷害保険はセットしていません。
まとめ
・自動車保険の人身傷害保険と搭乗者傷害保険なら、必ず人身傷害保険を選ぶべきです。
・人身傷害の保険金額やタイプなどは、皆さんの生活環境や、ニーズによっては検討してみても良いと思います。
特に通販型自動車保険でご自身で選んで契約する際は必ず注意してくださいね。
ちょこっとでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。